認知症のリスク低減のための対策は、40代など早期から行うことが理想的ですが、40代の方にとっては具体的にどんな対策をしたらよいのか、イメージはしづらいものです。まずは正しい情報を得ることが肝心です。
「何かがおかしい」――自分だけが気づく違和感が最初の兆候
まずは病気について正しく「知る」ことが対処の第一歩
アルツハイマー病は、20年ほどかけて徐々に進行していきます。ごく初期の段階では一般的な検査で異常が認められることはほとんどなく、自覚症状もありません。しかし多くの場合は、症状が進行して仕事や家事でのミスが目立つなど、周囲が認知機能の低下に気づくもっと前の段階から、以前よりど忘れが増えたなど「何かがおかしい」と自分では感じるようになっています。周りが気づくほどのミスはないが自分だけは違和感を感じている――これが認知症の最初の兆候です。
認知機能の変化に気づいたとき、「年のせいだから仕方ない」と放っておくのも、逆に「認知症になってしまったらもうおしまいだ」と闇雲に恐れるのも適切ではありません。生活改善、あるいは検査や治療を受けるなど、段階に応じて必要な対応を選択していくことで、症状や認知機能の改善が期待できます。それにはまずアルツハイマー病について、また自分の今の状態について、正しく「知る」ことが大切なのです。
アルツハイマー病について知る
認知機能の低下は脳の働きのごく一部であり、進行速度もゆっくり。闇雲に不安がらず正しく病気の知識を得る。
今、どの段階にあるかを知る
認知症なのか、その手前なのか。認知機能のうち、特に低下しているものがあるのかどうか。
まず取り組むべき課題を知る
認知機能の低下を防ぐには生活改善が重要。段階によっては服薬や脳のリハビリも検討する。
認知症リスク低減の「ステップ0」は自分自身の変化を知ること
気になる症状がある場合は先延ばしにせず、認知症専門医による診断を受けましょう。インターネットや市区町村の「地域包括支援センター」などで受診機関の情報を集めることができます。まずは健康診断を兼ねてかかりつけ医に相談してもよいでしょう。
しかし40代では自覚できる違和感もそれほどなく、医療機関に相談するほどではないのではと躊躇する人も少なくありません。そこで、認知症診断のステップ0として「自分でチェック」をおすすめします。
認知症のはじまりに自分で気づくには、これまでと違う、という「変化」を自覚することがポイントです。また自治体や医療関連団体のウェブサイト、アプリなどで手軽に実践できる認知機能チェックもあります。こういったチェックを定期的に行うことで、今は問題がなくても認知機能の変化に気づきやすくなり、方法によっては認知機能のトレーニングになるものもあります。その後の診断や治療の役にも立つため、今は心配がなくとも、40代になったらステップ0「自分でチェック」を始めるとよいでしょう。