国内での認知症予防施策

世界に先駆けて超高齢社会に突入した日本でも、認知症施策は始まっています。政府の働きかけから、徐々に自治体の取り組みへと広がり、認知症の人とその家族や関係者の暮らしをよりよくするための動きが各地で起こっています。

国内では「共生」と「予防」を両輪とした施策を推進

日本では2000年に介護保険法が施行され、ここから認知症ケアの取り組みが本格的に始まりました。2004年には、従来の「痴呆」から「認知症」へと用語を変更。2015年には、厚生労働省が「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する」ために、「認知症施策推進5か年計画」(2012年9月公表のオレンジプラン)を改め、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」を発表しました。
さらには2018年、認知症施策推進関係閣僚会議が設置され、翌2019年に認知症施策推進大綱が発表。「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進することが明記されました。ここでは「予防」とはすなわち「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味であると示されています。認知症の根本的予防・治療が難しい中でも生活習慣の改善等によるリスク低減は可能であることを踏まえ、70代での発症を10年間で1歳遅らせることを目標にしています。

コラム|自治体における認知症対策

認知症ケアにおいては、医療・介護体制の充実はもちろん、公共施設や交通手段などのハード面、生活支援などのソフト面、また事故対策など、多方面にわたる取り組みが求められます。ここでは、民間事業者を活用して「認知症の人にやさしい地域づくり」を進めている自治体における認知症対策の事例をご紹介します。

愛知県大府市 ~痛ましい鉄道事故を教訓に認知症の不安のないまちづくりをめざす

愛知県大府市では、2007年に市内在住の認知症の人が鉄道事故で亡くなり、家族の監督責任を巡って最高裁まで争う事件となって社会の注目を集めました。これが認知症ケアについてより深く考える契機となり取り組みを強化。事故から10年が経過した2017年、全国で初めてとなる認知症施策の基本条例「大府市認知症に対する不安のないまちづくり 推進条例」を制定しました。

兵庫県神戸市 ~認知症の早期診断助成と事故救済を組み合わせた全国初の「神戸モデル」

認知症の早期診断・早期発見を推進するための「診断助成制度」と、認知症の人が事故に遭った場合に救済するための「事故救済制度」を組み合わせて実施し、その財源は超過課税の導入により市民に負担してもらう全国初の認知症「神戸モデル」を創設。診断助成は自己負担なしで認知機能検査と精密検査の2段階検査で行います。事故救済は賠償責任の有無に関わらない給付金と賠償責任保険の二階建て。

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