「運動」「認知的介入」による認知症リスク低減

「運動」に認知症の発症予防や認知機能低下の抑止効果があることは世界的にほぼ確立したエビデンスとして認められています。「認知的介入」についてはエビデンスは不十分とされながら、WHOでも条件付きで推奨されています。

WHOでは運動を推奨。世界の研究で運動の効果は認められている

WHOのガイドラインでは、身体活動は脳の構造に間接に良い影響を与える可能性があるとし、認知症者における認知機能改善のための身体的介入を強く推奨しています。またMCI(軽度認知障害)に対しても条件付きで推奨するとしています。運動の種類としては、筋力トレーニングよりも有酸素運動のほうが効果の程度が大きいと述べています。
日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン」においても、定期的な運動は認知症の発症低下と関連があるとし、推奨しています。国内最大規模の疫学調査である久山町研究では、余暇時または仕事中の運動量の多い群はアルツハイマー病の発症リスクが有意に低下することを世界に先駆けて報告。その後、海外でも多くの報告がなされ、運動が認知症の予防因子であることは定説となっています。
国立長寿医療研究センターでは、認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」を開発。運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせたもので、認知症予防を目的に普及活動が行われています。同センターでMCI高齢者100名を対象に有酸素運動、コグニサイズ、運動の習慣化を取り入れた複合的運動プログラムの効果を検証したところ、全体的な認知機能や言語流暢性に加え、他の研究ではほとんど有効性が確認されていない記憶への効果、脳萎縮に対する維持、改善効果が認められました。

認知機能を刺激するトレーニングは楽しんでできることが大切

「認知的介入」は運動と同様、認知症の非薬物療法のひとつです。主にグループ活動のプログラムを通じて認知機能の向上を図る「認知刺激」や特定の課題を行う「認知トレーニング」などの方法があります。認知的介入はWHOにおいてはエビデンスは不十分でありながら、MCI(軽度認知障害)の人や高齢者に対して実施してもよいと推奨しています。
認知トレーニングを行う場合には、問題を記憶してしまったり単純作業になってしまったりすると認知機能向上効果は望めません。やっていても苦にならず、楽しんでできる変化のあるプログラムを選んで実施するのがよいでしょう。また、普段から仕事をしていることは「推理~判断~決定」のプロセスの繰り返しになり、それだけでも脳のトレーニングになります。
認知症の予防や認知機能低下抑制の対策については、世界中で多くの研究者が検証を重ねており、WHOでもさまざまな角度から認知症予防策を推奨しています。いずれにしても「これをやれば認知症は防げる」といった単一の方法はありません。食事・運動・睡眠、そしてどんな活動を楽しんで行うかなど、日常生活の中でできることから組み合わせて実践していくことが大切です。

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