超高齢社会と認知症

認知症は15-20年という長い経過をたどります。軽度障害のときは自立した生活が可能ですが、後半になると介護が必要になり、落ち込んだり、怒りっぽくなったり、場合によっては興奮・暴力や徘徊など、行動心理症状がご家族を悩ますこともあります。

認知症は介護が必要となった原因のトップ

認知症は発症した本人だけでなく、家族をはじめ周囲の人たちの生活にも大きな影響を及ぼします。進行するにつれて判断力の低下によるトラブルや徘徊など目を離すことができない状況が生じるためです。要介護者等について、介護が必要になった主な原因を見ると、「認知症」が18.7%と最も多くを占めます。特に女性は20.5%とその割合が高くなっています。

身近な人から地域社会まで、周囲を巻き込んだトラブルが社会問題に

記憶や深い判断力といった機能が失われていく認知症。進行すると病気であるという認識がなくなることも多いため、生活していく上でさまざまな混乱を招きやすいです。トラブルは家族や身近な人を巻き込むものから、まったくの他人や地域社会に影響を及ぼすものまで発展することもあり、場合によっては社会問題化することもあります。

徘徊

外出して自宅に戻れなくなる。警察等に保護され身元がわかれば自宅にも戻れるが、名前や住所が言えず行方不明のまま医療機関等で過ごすことも。徘徊中にけがをしたり命を落とすこともある。

孤独死

独居の場合、ゴミ出しや掃除がままならずゴミ屋敷化して、近隣とのトラブルになることも。また、自宅内で誰にも看取られることなく息を引き取り、長期間放置される孤独死のリスクも。

自動車事故

道に迷う、駐車場に入れた車がわからなくなるなどの困りごとが生じるほか、一方通行や高速道路の逆走、ハンドルやブレーキ等の誤操作によって大きな事故につながってしまうことがある。

消費者被害

判断能力が低下し、悪質な訪問販売などの消費者被害に合いやすい。国民生活センターによると、2019年度の80歳以上の高齢者の相談件数は約7万8000件と過去10年で最高に。

コラム|コロナ禍で認知症者の4割に「症状悪化」が認められる

新型コロナウイルス感染症の流行は社会に甚大な影響を与えました。特に医療・介護施設では診察やサービスを受ける機会が減少し、面会の制限なども行われ、認知症の人の生活環境も大きく変わらざるを得ませんでした。2020年8月に日本認知症学会が発表した、認知症専門医対象のアンケート調査によると、認知症の人の症状悪化を認めるという回答は40%におよびました。
東京都健康長寿医療センターによると、健康な高齢者であっても、社会的孤立と閉じこもり傾向が重なっていると、どちらも該当しない者に比べて6年後の死亡率が2.2倍高まるとされています。コロナ禍で行動が制限される中、高齢者の健康を維持し、認知症の症状悪化を防ぐ工夫が求められます。

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