超高齢社会・日本において、認知症は確実に取り組んでいかなければならない課題の一つです。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計。世界でも認知症者数は20年ごとに倍増するといわれています。
認知症の中でも最も多いアルツハイマー病
認知症とは、「いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態」を指します。名前などが思い出せない、もの覚えが悪くなるなどは脳の老化によるもので認知症とは異なります。認知症の場合は物事全体がすっぽりと抜け落ちるのが特徴で、進行すると理解力や判断力が低下して生活に支障が出るようになります。
認知症にはいくつか種類があります。最も多いのがアルツハイマー病で約7割を占めています。アルツハイマー病では、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞の働きを妨げ死滅させるといわれています。
日本ではかつてはアルツハイマー病よりも血管性認知症のほうが多かったのですが、1990年代後半よりアルツハイマー病の患者が増え始ました。特に80歳以上の年代での増加が著しくなっています。
超高齢社会の到来で認知症者数は増加の一途
認知症の症状は、記憶力や計算能力など認知機能そのものに障害が出る「中核症状」と、徘徊やイライラなどの「行動・心理症状」に分けられます。前者は認知症の進行とともに症状が深刻化し、改善も容易ではありませんが、後者は薬物療法などで比較的改善しやすい症状です。
日本では2012年時点の認知症の有病率は15%とされ、65歳以上の7人に1人、462万人が認知症です。その数は増加傾向にあり、2025年には5人に1人になると推計されています。全世界における認知症者数は2015年時点で4,680万人※と推計されており、今後20年ごとに倍増するといわれています。
※World Alzheimer Report 2015より