認知症のリスク低減に向けた世界的な動き

認知症予防に向けて、世界的な動きも始まっています。2019年にはWHOが初めて認知症の予防に関するガイドラインを発表。「認知症発症には修正可能な危険因子が多くあり、予防は可能である」としています。

WHOが認知機能低下および認知症リスク低減のガイドラインを初めて発表

2019年5月、WHOで初めて認知機能低下および認知症リスク低減のガイドラインが発表されました。そこには、認知症は「21世紀の健康と社会的介護にとって世界的な最重要課題の一つとなっている」とされ、本人だけでなく介護者や家族、地域や社会にとっても大きな影響を及ぼす」と述べられています。全世界で認知症にかけられている年間費用は818億ドルと推定されています(OECD2015、WHO 2017b) 。
認知症の最も大きな危険因子は加齢ですが、年をとったからといって絶対に避けられない病気ではありません。日々の生活習慣の中で改善できる因子が多くあることから、WHOは認知症になるリスクを低減し発症を遅らせる「予防」は可能であるとしています。

2017年5月、第70回世界保健総会は認知症の公衆衛生対策に関する世界行動計画〔Global action plan on the public health response to dementia〕2017-2025 を承認しました。(WHO 2017a)。
行動計画のビジョンは、「認知症が予防され、認知症の人とその介護者が健康的に生活し、尊厳、尊敬、自主性や平等性を保ちながら潜在能力を発揮するのに必要な介護と支援を受けられる世界」。その戦略的行動領域の一つとして、認知症リスクの低減が掲げられています。

対策は最も始めやすい「生活習慣の見直し」から

WHOによるガイドラインで言及されている12項目は「生活習慣の見直し」「体の健康維持」「心の健康維持」の3つに分類することができます。いずれも日常生活において改善することが可能ですが、まずは取り組みやすい「生活習慣の見直し」から始めてみるのがよいでしょう。身体活動や栄養摂取の習慣を変え、認知トレーニングを行うことで、他の「体の健康維持」「心の健康維持」にも好影響を及ぼします。認知トレーニングについては、わざわざ計算問題などに取り組まなくても、日々の仕事の中でこなしている「推理⇒判断⇒決定」などのプロセスで認知機能は鍛えられます。
「体の健康維持」については、中年期の肥満や高血圧、糖尿病などを予防、治療することは、「Lancet」で発表された認知症の危険因子を減らすことにもなり、やはり生活習慣病の予防改善が大きなカギになっているといえます。
社会活動については、社会参加が少ないこと、社会交流が少ないこと、孤独であることなどが認知症の発症率を高めるとされています。 ランセット委員会でも認知症予防を目的とした介入手法になりえるとされており、高齢者の健康と幸福に強く結びついた対策であると考えられます。

なぜ40代から?

PAGE TOP